前回私がお話したのは「色」を使って気持ちをより明確に伝える方法でした。少しタメになる専門的な話もいいですが、今回は早くも脱線してお休みの間に実践できることのお話をしたいと思います。
今は会いたい人に気軽に会えない時代。でも「リモート」という言葉が浸透し、ネットを通して顔を合わせることも当たり前になりました。また、SNSを通じて気軽に話ができるし、近況も知ることができる。とても便利です。しかし、改めて気持ちを伝えることってSNSだと意外とない。相手のことを想っていてもそれが伝わっているか分かりにくいし、逆に相手がどう想っているのかも読み取りにくいところもある。こんな時代だからこそ「自分のことを想ってくれている」という実感が欲しかったりするからSNSだけだと少し物足りなかったりする。そんな時、ふと手作りのグリーティングカードが届いたらどうでしょう。気持ちが暖かくなるし、とても嬉しいですよね。大きい荷物じゃない分気軽に送れるし、おうち時間が長くなった今だからこそ、誰かを想ってグリーティングカードを作ってみませんか?と言っても、「絵は苦手だしどこから始めたらいいのだろう」という人もいると思います。そこで私たち美術担当が普段仕事でロゴを作ったり、テロップや画像のレイアウトをしたりする手順を基に、ちょっとよく見えるグリーティングカードの作り方をご紹介します。
①テーマを決める
まずは季節や渡したい相手の状況を考え「何の目的で作成するか」を明確にし、テーマを決めます。それと同時にデザインの方向性はどのような感じでいくか、相手のイメージや好みに合わせて考えていきます。ここをしっかり考えておくことでまだデザインが明確でなくても、この先のデザインが散らかることなく、またスムーズに進むと思います。例えば、渡す相手が“友人”で“出産祝い”目的で作成するとします。その友人が動物好きで柔らかい印象を好む→「動物のイラストを入れた柔らかいパステル調」にしようといったようにテーマを固めます。ここを考えることによってよりその時間が“相手を想う時間”になりますよね。ここがオリジナルグリーティングカードの良さだったりします。私たち美術担当の場合(テロップ作成)はここでどういうテーマの話題なのか、ディレクターの伝えたいことは何か、どんな視聴者を対象にしているかなどを考えて色の雰囲気やフォントまで決めます。ちなみに最初の工程にしてここが1番大切です。
②テーマに沿って自分の好きなように描いていく
結局!?と思うかもしれませんが、テーマから派生して自然と自分の描きたいイメージが思い浮かんでくるものです。しかし、ただ“好きなように描く”と言ってもコツがあります。ひとことで言うと「テイストを揃えること」です。①の例から考えるとテーマで“柔らかいパステル調”と決めたので色合いはブレないように同じテイストにします。作成が進んでくると、欲が出てしまい違うテイストを入れたくなります。色合いから言うと淡い色ばかりだとパキッとしないから締め色でビビットな色を使いたくなったり。もちろん、デザインとしては自由なのでかっこよく決まるのかもしれませんが、テーマからブレてしまうと逆にゴチャゴチャした印象になってしまいます。しかし同じテイストだと色々なモチーフのデザインを入れたとしてもゴチャゴチャしないので不思議です。イラストを入れるとしても同じように色合いをパステル調にしてみると統一感が出ます。イラストなんて描けない!という人は何かお手本を用意して真似して描いてみるといいでしょう。私もイラストには特に自信がないのですが、美術担当の先輩が「イラストが苦手ならまずは万人受けにした方がいい」とアドバイスをしてくれました。これはつまり「かわいい系統」のイラストから挑戦してみるといいということです。イラストというと、漫画・アニメのようなリアルなものを先に想像してしまい苦手な人は描くことに自信をなくしてしまいますが、まずは“目が点”だったりするかわいいイラストを描いてみましょう。またイラストを自分で描くことがハードルが高いと感じたらネットからイラストを探し、それを貼り付けるいう方法もあります。無料のイラストの素材を配布しているサイト(王道は「いらすとや」)もあるのでそこから好みのイラストを探し駆使してみてもいいと思います。しかしこの場合もなるべくイラストのテイストを合わせてあげると全体的に統一感が出ます。例えば複数のイラストを使用する場合、1つはとてもリアルなイラストを探して貼り付け、もう1つはかわいい系統のイラストを貼り付ける、すると一気に統一感が失われるのでなるべく同じようなテイストを探してズレが起きないようにするといいです。最後にバランスについてですが、レイアウトのバランスが悪い、などと感じるのは正直人それぞれなので、調整に関してはデザインするこちらの自己満足でもあります。しかしその中で少しの「気遣い」をしてあげるとよりよくなります。受け取る相手にとってそのメッセージやデザインが見やすいか?伝わりやすいか?を考えることができたら素敵ですね。その「気遣い」を基にバランスを微調整していきましょう。
説明が長くなってしまいましたが、まとめるとオリジナルグリーティングカードをちょっとよく見せるポイントは「テーマを決めること」と「テイストを揃えること(統一感を出すこと)」です。この2つを意識すれば自分のセンスに自信が無くたって、イラストが苦手だって、タイポグラフィ(=文字を華やかにデザインすること)が出来なくたって素敵なオリジナルグリーティングカードが作れます。きっと貰った人はとても喜んでくれると思いますよ。
さぁあなたもおうち時間を利用して大切なあの人にオリジナルグリーティングカード送ってみませんか?
編集デザイン部 渡辺優奈